アニメ好きの外国人が、初めて夏の日本にやってきて、感激することの一つが、「ミーン、ミーン」とか「ジジジジジジ」「オーシンツクツク」「カナカナカナカナカナカナ」というセミの鳴き声を実際に耳にすることらしいですね。(※1)
アメリカやアジア、ヨーロッパの例えばイタリアや南仏などにもセミは生息しているようですが、それ以外の地域出身、生まれてから一度もセミの姿や鳴き声を見たことも聞いたこともない人たちにとっては、セミの鳴き声は、日本のアニメの中で見る(聞く)ちょっと不思議なサウンドであるらしく、初めて日本に来て実際に耳にすると、「アニメと同じだ!」と思うのだとか。
明治の頃に日本にやってきた、北ヨーロッパ出身の外国人の中には、日本の夏のセミの鳴き声を初めて聞いて、「なぜ木が鳴くのか?」なんて、嘘のような質問をした人も居たとかいないとか、そんな話もあります。
小さな頃から耳にしている我々にとっては、夏の風物詩であり、万葉集に歌われるほどに古くから身近な存在。「なじみの夏のサウンド」も、初めて生で聴く人にとっては、ミンミン、シュワシュワ、ニイニイ、カナカナと、物珍しい音なのかもしれません。
さて、そんなセミですが、英語でなんていうかご存知ですか?
唐突に誰かに「セミって英語でなんていうの?」って聞かれたら、「はて?なんだっけ」となる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「蝶」や「蜂」、「蚊」の英語は比較的耳なじみのある単語ですが、「セミ」って言われてみるとあまり英語ではなじみがありません。
セミは英語で
“Cicada”
といいます。(アメリカではlocustとも。locustにはイナゴの意味もあります。)
セミの脱皮は
cicada molting
セミの抜け殻は
Cicada shell
セミの鳴き声は
buzz of a cicada
ということができます。日本語ではセミの鳴き「声」ですが、英語では「Buzz(昆虫などがぶんぶん言う音のこと)」と、セミの鳴き声もほかの虫の羽音なんかと一緒くたにいってしまうんですね。
(ほかにもwaves of screechingなんて言い方もあります。)
もし、7月~9月初旬頃に、海外から友人や知人がやってきて、周囲に響くセミの鳴き声を耳にして「これって何の音?」なんて質問されることがあったら、是非使ってみてくださいね。
ところで、一説には、日本人はセミの鳴き声を「左脳」で言葉の一種として聞き、海外の人達はセミの鳴き声を「右脳」で「雑音」としてとらえる、という話があります。日本人には「日本の夏の情緒」の一つ、として感じられる「セミの鳴き声」も、海外の人達には「ただの雑音」にしか聞こえない、というのも、「所変われば、人変わる」をまさに如実に表していて、面白いですね。
余談ですが、多くの人々にとってはセミは見るだけ、聞くだけの昆虫ですが、中国や東南アジアでは、セミは食用とされています。日本でも四国や九州の一部地域では、古くは食用にされていたといいます。英語サイトでも、セミの旨味を評して「まるで陸地のえびのようだ!」と絶賛している記事もあったりして、油で素揚げにしたセミの料理などを大きくフューチャー、色々なセミ料理を紹介しているものもあります。本当に「所変われば」ですね。
ちなみに今日の記事のアイキャッチにもなっている緑色で赤い大きな角を持った、愛らしくてカラフルなセミは、タイなどに生息している「canthigaster cicada」と呼ばれるセミの一種。まるでブローチかなにかのように、ほんとに可愛らしい姿ですね。
(※1)